監督:今村昌平
主演:緒形拳、三國連太郎、倍賞美津子、小川真由美、ミヤコ蝶々

実際に起こった西口彰事件をベースにした小説の映画化『復讐するは我にあり』を観ました。

詐欺師で殺人犯の榎津巌(緒形拳)の逃亡生活と彼の周り(クリスチャンの父(三國連太郎)と病気の母(ミヤコ蝶々)、妻の加津子(倍賞美津子))の人間模様が交錯する面白い映画でした。

この映画で心に残ったことはいくつかありまして、まず榎津巌という悪人が形成されるきっかけは父親なんだろうなということです。
戦時中、軍人の強引な命令に頭を下げた父親の姿に子供だった榎津の心には暗い影を残したんだろうと思います。

次に逃亡中知り合って男女の関係になるハル(小川真由美)です。
榎津が指名手配犯だと分かっても逃亡を助け、榎津の子供を身ごもり、そして榎津に殺される。
この人は本当に不幸だなと。

最後に、死刑が執行され、榎津の遺骨を持った父と榎津の妻が山に登って散骨するシーン。
キリスト教では火葬してそれを散骨することは地獄に堕ちる行為だと本で読んだことがあったので、あのラストシーンは印象深いです。

嘘つきで女好き、目的のためなら殺しも厭わない榎津という男の残忍さが目立ちますが、登場人物たちの立場や心理状態など考えながら観るととても面白い良い映画だと思います。人間ドラマが好きな方におすすめです。